フジローヤル R-101 「焙煎中は排気ダンパー固定」の訳
珈琲の生豆を焙煎するには常に「空気の流れを意識」することが大切です
生豆から水分が抜けていく最初の段階ではその水分を含んだ空気が
さらに加熱を続けていくと豆から出てくる二酸化炭素や蒸発した水分 さらには油分が
豆の入った回転ドラムから排気管を通って排気ファン経由でサイクロン&屋外への排気筒へと流れます
この空気の流れる排気系統の途中に「ダンパー」と呼ばれる 調整弁があり
R-101の場合はダイヤル式で手動で調整することが可能な構造になっているんですが
このダンパー操作について詳しく知ろうと思っても 実はそう容易ではありません
なぜなら 世には数知れず焙煎について書かれた書籍があり WEB上でも情報が溢れていますが
その多くは「焙煎とは難しいもので素人が簡単にできるものではない」と位置付けて
なんだか焙煎というものを特別な作業のように伝える情報が多く
肝心な焙煎機の操作について触れているものが少ないように感じます
ということで 以下はあくまでシエスタ焙煎士としての私見ですが
「焙煎は簡単なものである」「誰にでもできます」という観点から
焙煎作業の重要な要素の一つ ダンパーについて触れてみようと思います
以下は あえて いったんは構造上とか理論上で書いていきますが
最後まで読んでいただくと 「なんだ そうか 焙煎って簡単じゃん」 となりますので ぜひ読んでください
ここからが本題となりまして
この「排気ダンパー」については おそらく100人の焙煎士がいたら100人がみな違う操作をしているのではないかなと思います
誤解のないように書きますが「違う操作」とは 「最初から最後までのそのすべての操作の持つ意味が全く同じになる事はありえない」という意味です
これは「生豆の含水分量」×「豆の量」×「火力調整」×「ダンパー操作」×「時間」×「サイクロン以降の屋外への排気管状況」=「無限数」
となるのでどの項目でも少し違うだけで答えは変わり「まったく同じになる事はありえない」訳ですがこれは = 「焙煎方法の違い」とも言えます
単に「ダンパー操作」というと 全閉(厳密には少し開く)から全開までの調整を指すので操作が同じになる人はいると思います
フジローヤルから発行されていて 付属品と一緒に添えられていた 「焙煎機の基本操作マニュアル」には
「温度上昇に併せてダンパーを徐々に開いていく」と書かれています
シエスタでも当初からその方法で焙煎してきました
上述の通り焙煎の進行に伴い増える二酸化炭素・水分・油分を排出するには理にかなっていて正しい操作だと思います
ですが ふと 「ダンパー固定ではダメなのか」「固定だと豆にどのような影響があるのか」と疑問に思うことがあり
あれこれ試した結果 現在は最初から最後まで「3に固定」で焙煎しています
3とは全閉~全開の中間よりも閉め側へ「やや絞った位置」です
R-101は下の写真のような構造になっていて 空気の流れは①~⑧へとなり
⑥排気ファンの吸い込み側に ②ダンパーが設置
排気ファンは一定の回転数で回っているので ⑥以降⑦・⑧へと送り出す空気の量(風量)は一定です
では吸い込み側にある ②ダンパーを操作したらどうなるの? ですよね
答えは ドラム内の豆のすき間を通過する空気の速度が変わる「風速の変化」です
全開状態の時に流れる空気の速度に対して 全閉側に絞っていくと徐々に速度が増していきます
つまり熱せられた空気は 絞れば絞るほど ドラム内を早く通過していく
これは 排気ファンの風量が一定なので その必要な空気量を確保するために早く流れる現象で
わかりやすく数値で例えるならば
全開時に 1秒間に10の風量で風速が1とします
半分に絞ると 1秒間に5の風量で風速が2となり 1秒間あたりの通過する空気の量(風量)は一定となります
※例外としては ダンパーを全開にして インバーター制御によりモーターの回転数(風量)を変える方法もあります
最後にシエスタ焙煎は なぜ 「3に固定」なのか
下の写真にもあるように 焙煎中に最上部の「生豆投入ホッパー」を開けてみると
3の場合 焙煎煙がきれいに排気されていていますが
2に絞るとホッパーから煙が溢れてます (どの温度帯でも同じ現象)
2ではそもそもの排気経路が閉塞され豆から出る煙の全量を排気しきれていない状態で
この状態ではドラム内は煙が充満しているので 結果として常に燻されてる豆が出来上がります
また R-101は排気ファンの能力が高いので開けすぎると 豆への香りづけに必要な煙まで排気してしまうので
ちょうど良い状態を保てるのが 「3に固定」 と結論づけました
ちなみに以前は 焙煎開始時は2・130℃で3・150℃で4・煎り上げ温度マイナス5℃で全開
という操作をしていました
次回では 「火力の調整」について書いてみようかと思います