フジローヤル R-101 「火力調整」

前回は 「生豆を焙煎するには常に空気の流れを意識することが大切」というテーマで

焙煎機の操作のうち「排気ダンパー」について書きましたが

今回は 生の豆に直接カロリーを与える熱源について書いてみようと思います

シエスタで稼働している焙煎機はこれまでにも何度も触れていますが

国内メーカー フジローヤル R-101 (生豆1kg用) 半熱風式 プロパンガス仕様

表からは見えない内部に回転ドラム(シリンダー)があり モーターによって1秒間に1回転しています

そのドラムの下から パイプバーナーから出る火(炎)で熱しているんですが

その火力調整は 「ガス圧調整弁」の操作で行っており 圧力計を見ながら開閉します

バーナーからの火(炎)は直接ドラム側面を熱し 中の豆は撹拌されながらドラムからの熱伝導によって暖められます

さらに 熱せられた空気はドラムの後方面に空いているパンチング(穴)からドラム内へ入り(写真4枚目の左側から)

豆のすき間を通り抜けて排気管(同右側へ)流れる際に その熱風により豆を暖めています

 ※以降の空気の流れは前回の「ダンパー」の中で書いています


このカロリーの与え方の仕様が「半熱風式」と呼ばれるもので

他には ドラムの側面に穴が開いていて 火(炎)が直接ドラム内の豆に当たる「直火式」があり

ドラムの後方面は塞がっていて熱風は入り込みません(半熱風式とは穴が開いている場所が側面と後方面で逆)

「直火式」は 豆と火(炎)が接することから香ばしく煎り上がり 深煎りに向いていると言われます

火力調整がシビアで 焙煎の前半に強すぎると芯まで熱が通らず外側だけが早く進んでいく「生やけ」や

豆から剥がれたチャフに引火することもあり得る など よい面もありながら難しいとも言われています

もうひとつは 熱源がドラムとは離れた位置にあり そこで暖められた空気をドラム内へ送り込む「熱風式」があります

豆は熱風にしか接しないため 生やけや引火などの懸念要素が少なく 浅煎りに向いていると言われます

家庭用の電気焙煎機にも採用されているほか 業務用の大型焙煎機も販売されています

それぞれの違いについてはこちら ⇒ 図解(フジローヤルHP)


さて ここからは本題の「火力調整」について

シエスタ焙煎では こうしています という感じで書いていきますが ダンパー操作と同じように

何が絶対的に正解で 何が不正解か はないと思っていますし 焙煎士それぞれで違うと思います

その日 1回目の焙煎を始める前には 焙煎機自体を暖める「暖機運転」を行います

ダンパーはこの時点から3に固定です

ガス圧1.5Kpaで20分ほど ドラム内温度計が200℃に達したときに消火 以降徐々に温度が降下

170℃になった時に生豆の投入・着火 ガス圧1.0Kpa で焙煎開始

130℃になった時に ガス圧1.5KPa

150℃になった時に ガス圧2.0KPa

180℃になった時に ガス圧1.0KPa

煎り上げ温度マイナス5℃で消火・残りの5℃は焙煎機自体の持つ余熱で上昇 目的温度で煎り上げ

煎り上げと同時にダンパーを全閉

この時のダンパー操作の意味は 

排気ファンの吸い込み側レバーを焙煎側から冷却側へ切り替えても完全密閉ではないので

ドラム内を空気が流れて冷やされてしまうのを最小限にする目的です

煎り上げ後は豆の冷却に5分ほど その間にドラム内温度が徐々に下がり続け

195℃で上げた場合は140℃くらいまで 220℃で上げた場合は160℃くらいまで下がります

なので直前の焙煎が何度で煎り上げたかによって 次の焙煎に向けた着火タイミングが変わり

冷却終わりを待たずに着火したり 冷却を完全に終えた後に着火したり 160℃付近を保持します

冷却終了後はレバーを焙煎側に切り替えてダンパーを3にして ガス圧1.0KPa 170℃で次の焙煎開始


今回はここまで主に「火力調整」と一連の作業の流れを書きましたが

シエスタが焙煎を始めた初期から現在に至るまでおよそ9,000回の焙煎をしてきた中で

独学(自己流)により数百通りの方法を試して 現在のシエスタ流があります

R-101で焙煎するには最適な方法として捉えているシエスタ流

その方法をお伝えするうえで あくまで数値として表現していますが

前回のダンパー操作と同じで その意味と作業自体は実に簡単なものです

排気ダンパーは固定 火力は最初弱く 徐々に強く その後は弱く 最後は消火(余熱) で煎り上げる

これだけのことです これで誰でも最後の写真のように狙ったイメージ曲線での焙煎ができます

この曲線は 豆本来の特性を生かし 浅煎りではフルーティー感 深煎りでは甘みを含んだしっかり苦み を表現できます

シエスタでは 不定期に「焙煎体験会」を開いています 「講習会」ではありませんので気軽に参加可能なようにしています

自分だけの完全オリジナルブレンドや ストレートをシエスタにはない温度で煎り上げた豆はすべてお持ち帰りです

「こんなに簡単に焙煎できますよ」と伝え 楽しんでもらいながら 焙煎を 珈琲をもっと身近に感じていただくことを目的としています

前回の「ダンパー操作」の内容と今回の「火力調整」を含む 焙煎については シエスタちゃんねるで視聴可能ですので

 ぜひこちらを ⇒ 【フジローヤルR101】珈琲豆の焙煎方法を全て公開&解説!【シエスタ焙煎】「初めてのコーヒー豆焙煎でも出来る!一緒にやってみよう!!」